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「音楽の領域におけるコロナウイルス感染のリスク評価」(第2アップデート)

5/29に、こちらにも掲載しました、「シャリテ大学病院ベルリン/7オーケストラ共同声明」と結果は、ほぼ同じだそうですが、今回は、なんと実証実験に、リコーダーも入っているので、こちらへ掲載させて頂きます。

長文ですので、リコーダーに関して書かれている1文を写真でピックアップしておきますが、この検証結果からすると、アウロスヤマハの飛沫可視化実験と同じように、演奏することで飛沫が発生する可能性は少なく、1.5m離れた距離でも、飛沫感染を介したウィルスの伝播はありそうもないとされています。

国内外で、こういった実験結果が方向されていると、心強いですし、リコーダーを演奏をする事への不安を払拭してもらえ、ありがたいですね♪

お時間のある方は、長文ですが、全文お読みになって下さい。

前回に引き続き、今回も膨大な翻訳を手掛けてくださった、福岡西南学院大学の須藤伊知郎教授のご尽力に感謝申し上げます。

以下、須藤先生の翻訳です。

フライブルク音楽家医学研究所/フライブルク大学病院/フライブルク音楽大学が5月19日に出した「音楽の領域におけるコロナウイルス感染のリスク評価」(第2アップデート)を訳しました。原文は34ページにわたっていて、音楽関係で現時点では最も詳細な叙述です。これはあくまでドイツについてのものですので、必ずしもそのままでは日本に当てはまらない部分もありますが、音楽活動再開の際にぜひご参照ください。先日アップした、シャリテ大学病院ベルリン/7オーケストラ共同声明とほぼ同じ結論になっていますが、両者を付き合わせると、より客観的な判断が下せると思います。(DropboxにアップしたWord文書では目次と内容にリンクを貼って飛べるようにしてあります。) https://www.dropbox.com/s/d7x6mrqlxcnvod0/ ━━━━━━━━━━ https://www.mh-freiburg.de/fileadmin/Downloads/Allgemeines/RisikoabschaetzungCoronaMusikSpahnRichter19.5.2020.pdf 音楽の領域におけるコロナウイルス感染のリスク評価 第2アップデート2020年5月19日 クラウディア・シュパーン教授(医学博士、哲学博士)、ベルンハルト・リヒター教授(医学博士) フライブルク音楽家医学研究所(FIM) ファライブルク大学病院 フライブルク音楽大学 フライブルク大学病院の以下の同僚および専門領域の協力: アルミン・シュースター(生物学士) 病院衛生管理(感染予防・病院衛生研究所、所長H・グルントマン教授(医学博士)) ハルトムート・ヘンゲル教授(ウイルス学研究所長) ハルトムート・ビュルクレ教授(麻酔科学・集中医療医学病院長) 目次 前文 1. 新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕の伝播経路 2. 音楽の領域において固有な危険に陥る観点 2.1 音楽の領域におけるリスク低減の組織的可能性 a.) 入場管理 b.) 部屋/空気/時間という変数 c.) 個人的な防護措置 2.2 歌と楽器固有のリスク評価 2.2.1 歌 歌うことに関する一般的リスク評価 歌の遂行の諸形態 声楽個人レッスン 合唱 礼拝で歌うこと 2.2.2 吹奏楽器演奏 吹奏楽器演奏に関するリスク評価 吹奏楽器演奏の諸形態 吹奏楽個人レッスン 吹奏楽アンサンブル 2.2.3 他の楽器 鍵盤、弦、撥弦、打楽器 室内楽アンサンブル/バンド オーケストラ/ビッグバンド 3. リスクマネジメント 参考文献 前文 最初の、2020年4月25日に公開したリスク評価以来、さらなる問いが─コロナ・パンデミックのダイナミックな状況に条件づけられて─投げかけられた。20年5月6日以降のいわゆるロックダウンの─州によってもまた部分的には非常に異なった形の─段階的な解除と共に、職業的な〔プロの〕音楽とアマチュア音楽の領域からの、どのようにそしていつ音楽活動が再び再開できるかという問いがますます喫緊のものとなっている。これらの問いが該当するのは、礼拝における会衆讃美ならびにアマチュア音楽における歌唱と音楽演奏の組織的な諸形態、さらに劇場、コンサートホール、オペラハウスまた他の演奏会場におけるオーケストラ、合唱団、バンドそしてアンサンブルの職業的な音楽業務遂行である。 音楽のジャンルの観点では共通して似た問いが生じている。特別な意義があるのが、音楽大学、音楽学校そしてその他の教育機関における声楽と器楽のレッスンである。 各州の枠組み要件に従って集まることが許される人員数の拡大とともに、今やオーケストラ、ビッグバンどそして合唱における音楽演奏の際のグループ編成が焦点となってきた。このことは考察されるべき問いの複雑さを高める。特に職業的に活動している音楽家にとっても他の労働状況との比較可能性、たとえばどこまでオープンプランのオフィスにおける労働の際の感染リスクがオーケストラの練習業務と異なるか、という問いが立てられる。個々の州で予定されている聴衆の入場再許可は、付加的にさらなる問いを告知している。 基本的に音楽演奏者には、各省庁で指定され、保健当局(ならびにできる限り他の管轄の役所と法定傷害保険の担い手)と調整を図った、連邦全国と個々の州で有効な諸規則(集会、接触、最小距離そして口鼻防護具(MNS〔サージカルマスク〕))が妥当する。ここに、職業的そしてアマチュア音楽の領域またクラシックとポピュラー音楽における、それぞれ固有で多様な状況のために適切な行動の推奨を開発する、という一つの大きく困難な課題が立てられている。この関連で、ここに提示しているような、専門的な評価は、他の箇所─政治的また組織的なレベル─で下されなければならない行動決定のために助言を提供するべきものである。 最初の科学的な研究調査と専門家たちの間の当該分野での議論がここ数週間に行われた。また様々な機関によって、音楽演奏者と歌手にとっての現時点のリスク評価が提示されている(特にシャリテ大学病院ベルリン(Mürbe et al.またWillich et al.)、ドイツ音楽生理学・音楽家医学協会(Firle et al.)、〔ミュンヘン防衛大学流体力学・航空力学研究所〕Kähler & Hain、さらにドイツ嘱託・産業医連盟(VDBW)ワーキンググループ舞台とオーケストラのコメント付きでドイツ・オーケストラ協会(DOV)の健康と予防ワーキングチーム(Böckelmann et al.))。 我々著者は、この論文で科学的な研究結果をできる限り完全に現状にしたがって我々の評価に取り入れるよう努力する。目標は、下されている様々な評価を最新の科学的研究結果を手掛かりに適合させ、そしてここにおいて一つのコンセンサスをもたらすことである。 我々はこのリスク評価において、バンベルク交響楽団の発案で2020年5月5日に行われ、そこにFIM〔フライブルク音楽家医学研究所〕の著者たちが参加した、吹奏楽器演奏者と歌手の研究調査結果を引き合いに出す*。測定はティンチュル・バイオエネルギー流体力学株式会社に委託された。オーケストラで通常使われるすべての吹奏楽器およびリコーダーとサクソフォン、また歌手(クラシックの声楽とポピュラーの様々な歌唱スタイル)が調査対象に入れられた。気流可視化のための定性的な実験も、気流の速度の様々な距離における定量的な測定も行われた。測定結果の提示およびその議論は、今後のアップデートにおいて公開されるであろう。 * 〔訳注〕https://www.br.de/mediathek/video/bamberg-symphoniker-geben-studie-in-auftrag-av:5eb19cdc9c544f0014aeec4d(2020年6月15日最終閲覧) 未だ科学的な調査結果が提示されていない領域においては、叙述はこれまでと同様著者たちの観点からのものである。ここに提示している論文はしたがって未だなお〔現時点での暫定的な〕スナップショットであって、これはさらなる事態の進行につれて、有効な規則と新たな科学的知見のその都度の最新状況にしたがって検証され、適合されていくであろう。 ここに提示するリスク評価の質と信頼性を高めるために、我々はフライブルク大学病院において、感染予防・病院衛生研究所(所長はH.グルントマン教授(医学博士))の同僚たち、ハルトムート・ヘンゲル教授(ウイルス学研究所医学所長、医学博士)とハルトムート・ビュルクレ教授(麻酔科学・集中医療医学病院長、医学博士)と共に学際的な作業部会を立ち上げた。名前を挙げた同僚たちはここに提示した論文をそれぞれの専門的な視点から共に作り上げ、検証した。 コロナ・パンデミックの発生以来我々は皆、新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕が拡散する際の疫学的に重要な要因という観点で、手にしている知見が増しつつある。ロベルト・コッホ研究所とドイツの政治は当初から、取られるべき諸々の措置の目的は感染拡大の鈍化と阻止であることを明確にした。様々な措置の観点で指針となるのは、新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕の感染リスクをできる限り強く低減させることである。 音楽遂行に固有な問題に関してのリスク評価も、このため我々の観点からは、どのような付加的なリスクが音楽遂行によって生じるか、ということに目標を定めなければならない。この既存の一般的な諸基準に沿った目標設定は、政治的な決定に携わる者たちを、音楽の領域のために適切な行動推奨を導き出せるような状況に置くために、我々には重要であると思われる。 ここに提示されているリスク評価は、音楽の領域に固有のリスクを特定し、同時にリスクを低減する措置を提供するという目標で、リスクマネジメントの考え方に沿ったものである。これによって柔軟な、その都度の音楽演奏者と演奏状況に適合させたリスクマネジメントの構想を開発し、音楽遂行の文脈における諸問題を適切に社会全体の枠組みの中に統合することができるであろう。 柔軟なリスク適応の意味で、将来的にはまた、より強く感染リスクと罹患リスクを区別し、音楽演奏者の性向(先行疾患、年齢等々)に対応した綿密な予防措置を実践することができるであろう。 地域と時間の(たとえば一つの都市あるいは町村における)疫学的状況にも、一緒に音楽を行う際の感染回避に向けた戦略が注意を払うことができるであろう。そうすることでたとえば合唱練習の集団的なリスクを、将来的には新型コロナウイルス感染症〔COVID-19〕追跡アプリ─現時点ではまだ開発中─を手にしてより良く評価できるようになるかもしれない。 たとえ現時点ではまだそこまで綿密なリスク適応のための十分な基礎とツールが、社会全体そして音楽の領域において存在していないとしても、著者たちはここに提示する論文でそれでも、そこへ向かう途上の第一歩を踏み出すことを試みる。 1. 新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕の伝播経路 基本情報 呼吸器感染症を惹き起こすウイルスの主な伝播は、一般的に飛沫とエアロゾルを介して起こる。それらは咳とくしゃみの際に生じ、向かい合っている側で、鼻、口そして気道の奥の粘膜を通して息を吸う際に、また場合によっては目の結膜を通して受け止められる。飛沫というのはこの文脈では比較的大きな粒子を意味している(直径5マイクロメートル以上)。部分的にはそれらはとても大きいので、咳やくしゃみをする時、目に見えて、皮膚の上で感じ取れるものである。エアロゾル(古代ギリシア語ἀήρ「空気」とラテン語solutio「溶液」からの造語)は、気体中の非常に小さな浮遊粒子からなる不均一な混合物で(直径5マイクロメートル以下)、技術的な補助手段がなければ見えないものである。フィンランドのヴィレ・ヴオリネンを中心とするヘルシンキ、アアルト大学の作業部会が、閉鎖空間(スーパーマーケット)におけるエアロゾルの拡散に関するコンピューターシミュレーションを行った(Vuorinen et al. 2020)。感染した人が咳をしてウイルスを吐き出すと、このシミュレーションによれば、ウイルスは、たとえその感染した人がすでに再びそこを去ってしまっても、何分間もまだ空気中で検出できる、ということを前提して考えるべきである。他の人々はその場合、空気中にあるウイルスを吸い込む可能性がある。 同様にウイルスは様々な〔物体の〕表面にも到達し、それらから特にこの汚染された表面に手で触れ、その手がそれから汚れた状態で顔に触ることによって、伝播する可能性がある─ウイルスがこの時点までその感染力を保持している限り(接触伝播)。 図1において伝播経路の概略が図式的にまとめられている。 図1:起こりうる伝播経路の概略図。呼気(a)で飛沫(b)とエアロゾル(c)は周囲に達する。飛沫は〔物体〕表面(たとえば机(d))に達する可能性がある。そこからそれらは手(e)によって受け止められる可能性がある。手がその後、口、鼻あるいは目と接触すると、接触伝播(塗抹感染)に立ち至る可能性がある。 新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕に固有の情報 新型コロナウイルス感染症〔COVID-19〕罹患の引き金としてのコロナウイルス(学名:SARS-CoV-2)の拡散は、現時点での知見にしたがえば飛沫感染の経路ないしエアロゾルを介して起こる(Meselson et al. 2020)。 ロベルト・コッホ研究所の2020年4月17日付の報告によれば、三つの研究でコロナウイルス-RNAを含むエアロゾルが、患者の呼気の空気サンプルないし患者〔が滞在している〕病室の室内空気の中に検出された(Leung et al. 2020; Chia et al. 2020; Santarpia et al. 2020)。 ウイルスの接触伝播も起こりうる。汚染された〔物体〕表面による伝播は、増殖可能な新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕病原体が特定の状況下では周辺で検出される可能性があるので(van Doremalen et al. 2020)、とりわけ感染者の直接の周辺において排除できない(ECDC〔欧州疾病予防管理センター〕2020)。どの程度ここで目を介した感染が起こる蓋然性があるのかは、未だ最終的な判断を下すことができない(Zhou et al. 2020)。 呼気と並んで重要なさらなる感染性物質として、唾と気道分泌物〔鼻水、痰等〕を挙げるべきである。患者の直接的なケアにおいて、多くの耳鼻咽喉科医と麻酔科医/集中治療医およびこれらの分野の看護師が、口腔・咽頭領域の内視鏡検査と介入を行い、そうして言及されたこれら三つの伝播形態〔呼気、唾、気道分泌物〕すべてに場合によっては集中的な接触を持つので、平均以上に新型コロナウイルスに罹患しているということが確認された(Dt. HNO-Gesellschaft 2020; Ruthberg et al. 2020)。 2. 音楽の領域において固有な危険に陥る観点 2.1 音楽の領域におけるリスク低減の組織的可能性 歌と楽器固有の、またセッティング固有のリスク評価を検討する前に、音楽の領域で適用可能な、リスク低減の組織的可能性を提示しておくべきである。これらの可能性は我々の観点では、特に人員の数が多いフォーメーション(合唱、オーケストラ、ビッグバンド)の場合に決定的な役割を果たす。 以下の図2がリスク低減のために可能な措置の概観を示している。我々はここで三つの領域における措置が有意義であると看做す:  a.) 入場管理  b.) 部屋/空気/時間という変数  c.) 個人的な防護措置 a.)とc.)の領域は行動予防、b.)の領域は関係予防に分類することができる。 音楽の領域におけるリスク低減の組織的可能性 図2:音楽の領域におけるリスク低減のための組織的措置の概観 a.) 入場管理 入場管理は、いくつかの重要な兆候のチェックと集中的な管理を含むことができる: • 健康を脅かされる危険が高まることは、ロベルト・コッホ研究所〔RKI〕の先行疾患リストにしたがって評価することができる(RKI重症化リスク群のリスト 1)。 脚注1) 高齢者(重症化のリスクは約50-60歳から常に高まる)、強度の肥満の人、心臓・循環器系の先行疾患、慢性肺疾患、慢性肝臓疾患、糖尿病患者、がん患者、免疫系が弱っている患者。 • 過去5-6日の個人的な接触分析を手掛かりに、ウイルス保有者であるリスクを評価し、そして標準化された質問(質問票ないしアプリ 2)を手がかりに、新型コロナウイルス〔COVID-19〕感染を疑わせる症候があるかどうかをチェックすることによって、練習/授業/コンサートへの入場を規制し、自己と他者の防護を将来的にますます向上させることができる。 脚注2) アンケート用紙とアプリは、すでに20年4月5日から投入されているフライブルク大学病院の調査手段に依拠することができる。 • あらゆる音楽ジャンルの演奏家たちは、発熱に加えて気道症状(乾いた咳、鼻かぜ)があるような〔新型コロナウイルス固有ではない〕一般的な症状の場合、あるいは急に臭覚、味覚が失われるといったようなどちらかというと典型的な症状の場合、鼻咽頭ぬぐい液の新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕PCR検査によって感染の可能性が排除されるまで、他の演奏家とのあらゆる接触を避けることに、厳重に注意を払うべきである。 感染が証明された場合、他国からの入国ないしコロナに感染した人との接触があった場合は、その時点で有効な検疫規則が遵守されるべきである。症状が現れた場合はいずれにせよ、かかりつけ医に連絡すべきである。子どもや青年の音楽レッスンの場合、保護者たちにも子どもたちを、最初にコロナを疑わせる兆候や軽度の症状が出た時点で、もうレッスンに送り出すべきではないということを、集中的に周知すべきである。学生たちにもこの事情に注意を喚起すべきである。このことは同様にもちろん教師たちにも当てはまるのであり、これらの状況の下では決して授業を行うべきではない。高齢者あるいは先行疾患によって危険にさらされている人々(RKIのリスクのリスト参照)には、まさに能動的な音楽遂行の場面においても特に厳格な予防措置が適用される。 • 予算的に安価で実行できる、さらに可能な措置としては、検温が音楽遂行前の追加的なスクリーニングとして他の措置とともに挙げられる。フライブルク大学病院では新型コロナウイルス感染者の大部分が、急性気道疾患を伴う高い体温を示した。ロベルト・コッホ研究所はそれに反して、たとえば空港における入場スクリーニングの際のスクリーニング措置として検温をもはや推奨していない。なぜならドイツでは感染者の42%しか高い体温(>37,5℃)を示していないからである(『疫学週報』RKI 2020年20号〔5月14日付〕*)。無症状で発熱していないウイルス分泌者もまた、検温によっては捕捉できない。 * 〔訳注〕https://www.rki.de/DE/Content/Infekt/EpidBull/Archiv/2020/Ausgaben/20_20.pdf?__blob=publicationFile(2020年6月15日最終閲覧) 標準化された質問も検温も、音楽演奏者たちの注意を感染リスクの様々な観点において改善し、防護措置の実施の際のコンプライアンスを高めることができるであろう。標準化された質問は、フライブルク大学病院で実施されている、2020年5月4日からの病院の段階的開業以降、救急患者の選択的治療の際の衛生計画の一部でもある。この簡便な措置は経費からして実行可能であり、非常に好評である。 職業的な音楽領域(オペラ、コンサート、劇場)のためには、これを超えてさらに詳細な衛生計画を適用することができるだろう。それらの衛生計画は施設毎に産業医によって開発され、検証されなければならないだろう(Böckelmann et al. 2020)。これらの計画は、プロスポーツにおいてすでに存在している計画に依拠することができるだろう。 b.) 部屋/空気/時間という変数 新型コロナウイルス・パンデミックの経過から得られた疫学的な知見はすでに現在、人々が集まる際の部屋及び空気の状況また曝露の時間が感染リスクにおそらく決定的に影響を及ぼすことを示している(Leung et al. 2020; Chia et al. 2020; Santarpia et al. 2020; Liu et al. 2020)。 屋外における歌唱と音楽演奏 感染はおそらくとりわけ、閉鎖空間に比較的長い時間滞在している人々の間で起きる。中国における感染者総数7324件での2020年1月と2月のQian他による研究において著者たちは、ただ1件においてのみ屋外における感染を示すものがあるということを確定した(Qian et al. 2020)。エアロゾルは屋外では〔室内よりも〕より早く拡散し、病原体の不活性化の過程が強度に加速され(紫外線、オゾン、水酸基、窒素酸化物)、そして全体的な効果としてそれによって感染リスクがはるかに低くなる、ということが推測できる。最小距離を遵守する場合にリスクは、屋外での歌唱と音楽演奏にとって、それゆえ非常にわずかであると評価すべきである。 多くの人々と一緒に音楽を演奏するためには、このため、オープンエアの状況が第一の選択肢である。まさに、これから段階的な再開が行われてゆく数週間、数ヶ月が夏の数ヶ月であるということにも鑑みると、屋外での音楽演奏は実行可能であり、特に魅力的ですらあるように思われる。ここには長い文化伝統がある。古代の円形劇場のことを考えてみるだけでもよい。合唱(古代ギリシア語でχορός choros)という概念は、元来そこで歌われもした円形劇場の舞踏場を意味していた。郊外における吹奏楽もまた伝統的に屋外で行われる。ポップとロックのジャンルでは野外コンサートが、広く行われている設定である。聴衆のためには、主流となっている集会規則を遵守するか、あるいは創造的な解決策(たとえばいわゆるコンサートプロムナード、すなわち移動コンサート)を見出さなければならない。 閉鎖空間における歌唱と音楽演奏 • 換気:歌唱と音楽演奏が閉鎖空間の内部で自然換気で行われる場合、これまでの経験にしたがえば、定期的かつ徹底的な換気がリスク低減に向けた重要な要因である。部屋に機械的換気装置(空調設備、RLT)がある限り、エアロゾルによる感染リスクの低減が想定される(エアロゾルは自然換気の場合、約0,5–2時間の範囲で空気の入れ替えがあるなら窓を閉めていても除かれるが、たとえばコンサートホールや公会堂における空調設備の場合、約4–8時間の換気率となる)。 • 部屋の広さ:部屋の広さと部屋に居合せる人々の人数および人々が閉鎖空間にいる継続時間もまた、重要な役割を演じているように思われる(Tellier 2006)。比較的大勢の人数が比較的長い時間、狭くあまり換気されていない部屋に滞在していたことが、イシュルとハインスベルクでの感染爆発の際に、〔ウイルスの〕拡散を促進してしまったように思われる。  一緒に音楽を演奏することに関連づけて考えると、たとえば教会堂、コンサートホールあるいは市公会堂といった非常に大きな空間を、より多く練習場としても用いることができるであろう。 • 練習の継続時間:十分な部屋の広さと並んで、一斉〔に窓を開けて〕換気をする休憩を挟んだ、短い練習時間の繰り返し(たとえば15分、ロベルト・コッホ研究所、2020年4月16日更新、コロナウイルスSARS-CoV-2による呼吸器系罹患者の濃厚接触者追跡をも参照)が効果がある。〔訳注:ドイツでは新型コロナウイルス流行以前から、気密性の高い住環境での一斉窓開け換気が一般的であるが、日本では特に夏季は熱中症対策も考えなければならないので、この点は慎重に考察する必要がある。〕 c.) 個人的な防護措置 • 口鼻防護:口鼻防護具(MNS〔サージカルマスク〕)(ないし口鼻覆い)を着用することは、我々の観点からするとまさに音楽の領域でリスク低減のための重要な可能性を提示している。MNSの場合は特に、たとえば歌う際や弦楽器、撥弦楽器ないし鍵盤楽器を演奏する際、自然な感覚からふさわしくない、あるいは邪魔だと感じられることがありうるにもかかわらず、用いられるということが重要である。MNSないしマスク(フィルター付きハーフマスク)を着用する際には、感染症学的な観点から、人を他人の飛沫ないしエアロゾルによる感染から防護することが目指されているのか(自己防護)、あるいはある人による他の人への感染物質の拡散〔を防ぐこと〕が目的なのか、が区別される。  医療的な顔マスクの素材、現在MNSとして容易に入手できる、タイプⅡ(DIN EN 14683:2019-6に従う)は直径3µm以上の粒子の92%以上を吸収する。そこでマスクは他者防護のための有意義な措置であるが、妥当な自己防護をも提供する(IuKの測定によればマスクは0,5µm以上の粒子を約80–90%、0,3µm以上の粒子を約70–80%抑止する)。  正しいマスクの装着はここでしかしながら、また一つの重要な役割を演じる。なぜなら特に強制的に息を吐く場合、横からもマスクの脇を通り過ぎて浮遊粒子の放出が起こる可能性があるからである(Mittal et al. 2020)。最新の諸研究においては、そのようなマスクの着用が飛沫とエアロゾルの拡散を効果的に減少させることができると示すことができた(Leung et al. 2020)。 • 距離の規則:距離の規則の遵守は、音楽演奏の遂行においても我々には飛沫感染を防ぐために非常に重要であるように思われる。その遵守には大きな注意が要求され、体の近さと社会的な結び付きは音楽を演奏する状況における直観的な部分であるため、また歌うことと音楽を演奏することは硬直した姿勢で行われるものではなく、空間における一定の動きを必要とするので、人が取る距離は我々の観点からは2メートルであるべきである。個人間で半径2メートルの距離を遵守することによって、閉鎖空間に一定数の人々がいる場合には同時に、この規則に従えば小さな空間にはただわずかな音楽演奏者のみしか滞在できないことになるという、積極的な付加的効果が達成される。より大きな編成の場合には、この規則の遵守によってより大きな空間の広さが必要となる。そのことによって半径2メートルの最小距離は、飛沫による感染のリスクのみでなく、室内空間におけるエアロゾルの蓄積の増加によるリスクも低減させる可能性がある。距離の規則の遵守はしかしながら、定期的な換気と練習の持続時間の低減に置き換わるものではない。 • 〔楽器〕固有の措置:個人的な防護措置の領域に、個々の楽器の場合のさらなる固有の観点が入る(たとえば歌手とコレペティートルの間の唾の防護具と仕切り板)。 2.2 歌と楽器固有のリスクの評価 2.2.1 歌 歌うことに関する一般的リスク評価 すでに叙述されたように新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕の伝播経路の場合、ウイルスを含む飛沫による感染の危険とウイルスを含むエアロゾルによる感染の危険を区別すべきである。これらに加えて、手/鼻/口の接触と場合によっては手/目の接触を介した重要な伝播経路がある。 飛沫:飛沫はそれらの大きさと重さに基づいて迅速に床に沈み、最大1メートルの距離に到達する。このことに、日常生活状況(店舗、事務所等々)における1,5メートルの距離の規則は基づいている。 歌う際に飛沫感染による高められた危険が生じるのか? 音声生理学においては、以前から発声(歌う際の音の生成)の際に歌う者の開いた口の前では、音波は生理学的に気流なしに拡散するのであるから、何ら実質的に付加的な空気の動きは生じない、ということが叙述されてきている。燃えているローソクの炎は、歌手の口の前で、たとえその人が大声で歌っているとしても、動きはしない。 この観察は、バンベルク交響楽団での三人の歌手の測定で改めて確認することができた。男女の歌手たちの口のすぐ前に導かれた人工的な霧は、様々な音程と音量と歌い方で歌うことによって、見えるようには逸らされなかった。破裂音による不自然な〔無理やり強い〕発音をした際には、近い領域で軽微な渦巻きが観察された。しかしながら、歌っている者から2メートルの距離で気流の速度をセンサーによって測定したところ、何ら空気の動きは測定することができなかった。そこでこの2メートルの距離が、不自然な〔無理やり強い〕発音をした場合でも、飛沫感染に関する安全距離とみなすことができる。 エアロゾル:増殖能を持つ病原体、たとえば水痘・帯状疱疹ウイルス、インフルエンザ・ウイルス、麻疹ウイルス、結核菌、そして明らかに新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕も、気道においてエアロゾルに統合される。 話す際には、声が大きくなるほどエアロゾル形成が増加することが示されている(Asadi et al. 2019)。歌う際のエアロゾルについては、これまで科学的な研究は提示されていない。開いた口からエアロゾルが出る際、これらは比重がわずかなので(約37℃で相対湿度95%超の場合)まずは上昇し、それから室内空気と混ざる。沈降は粒子の大きさ約4µm以下では、実際的にはもはや何ら役割を果たさない。 歌う際にエアロゾルによる高められた危険が生じるのか? 基本的に、歌う際には、安静時の呼吸あるいは会話の際と同様、ウイルスを伝播する可能性があるエアロゾルが発生する可能性がある(Fabian et al. 2019)。全体としてエアロゾルの測定は、測定技術的に困難な挑戦を意味している。 息を吸うこと 歌う際にどの程度、深く息を吸うことによって高められた感染の危険が生じるのかについては、いまだ科学的に研究されてはいない。 痰の生成 歌手の場合、音の生成の他にまた、軽微ではない痰の生成に至る可能性がある。一方でウォーミングアップないし歌い出しの際に稀ではなく、増加して痰が生成され、それがその後咳ないし咳払いによって呼吸器系から取り除かれることが観察される。同様に比較的長い演奏をした場合、気道の過負荷によって増加した痰の形成に至る可能性がある。 まとめ:歌うことに関する一般的リスク評価 〔以上〕叙述された因果関係と帰結に基づいて我々は、飛沫伝播の観点では2メートルの距離を遵守すれば歌うことによってリスクが高まることはない、ということを前提して考える。最新の測定結果に基づけば、我々が2020年4月25日の最初のリスク評価においてはまだ表明していた、3–5メートルの距離を過剰に満たす必要はないと思われる。どの程度まで、歌うことによって固有の変化を受けたエアロゾルの形成と拡散が歌うという事象によって生じるのかは、現在のところ未だ評価が困難である。また未だ明らかでないのは、歌う際に深く息を吸うことが、起こりうる感染にどのような影響を与えるのかということである。〔以下に、我々が〕手にしている知見からの帰結として、我々の観点から必要と思われる防護措置を提案することとする。これら〔の措置〕はその都度、歌唱が行われる個々の形態と編成にしたがって、叙述される。 歌の遂行の諸形態 声楽個人レッスン ソリスト的に歌う場合、響きを産み出す際に深い息の吸い込みと吐き出しが起こる。どの程度このことによって感染リスクが高められるのかは、我々の知る限りでは引き続き今までのところ科学的には研究されていない。たとえ声楽的な発声の際に〔生じる〕直接の気流は、我々の最新の測定が確認することができたように、強くないとしても、歌う際にエアロゾルによるウイルスの拡散が起きることが想定される。ソリスト的に歌う場合、子音を形造る際に唾の粒子、つまり飛沫が吐き出される。これらの飛沫の到達距離がわずかであることは、すでに上で述べられている。 飛沫による直接の伝播は、〔距離を置くことに〕加えてプラスチック〔アクリル〕製の仕切り板を立てることによって減少させることができる。ここではまた、すでに様々な会場に存在している遮音板を間に合わせに唾避けとして用いることができるかもしれない。 それを超えて我々に有意義であると思われるのは、教師が個人レッスンの間、生徒が歌っている時、〔距離を置くことに〕加えて口鼻防護具(MNS〔サージカルマスク〕)を着用することである。医療領域向けではない防護マスクが使える場合、FFP-2マスクの着用は自己防護の意味で起こりうる感染リスクを付加的に低減させる可能性がある。 (最新の測定に従い、特に2メートルの距離(上述)を保つ)安全措置の厳格な遵守と(十分な空間の広さ、15分毎の換気休憩そして特にまた個々の生徒の間の)空間的諸前提が存在している条件の下では、我々の観点から見て個人レッスンにおけるリスクは低減させることができる。 しかしながら、このアップデートされたリスク評価から、〔声楽を〕教える者あるいはレッスンを受ける者は、個人レッスンを対面授業として提供する、あるいはそれに参加するように、義務づけられていると誤って考えてはならない。建物の、あるいは組織上の前提条件が揃っていない場合、レッスンは我々の意見に従えば、対面レッスンとしてではなくデジタル〔機器を用いた遠隔授業〕で行われるべきである。 合唱 合唱の場合、基本的に歌うという事象の上述の諸特徴が存在している。個々の歌い手によるエアロゾルの形成を前提して考えなければならないので、より多くの人数が集まるほど、閉鎖空間におけるウイルスを含んだエアロゾルはより高い密度で集まることが想定される(Liu et al. 2020)。換気の質がここで同様に重要な役割を演じる(Liu et al. 2020)。また継続時間の問題、つまりどれだけ長く一回の合唱練習が継続するかも、一つの空間において予想されるエアロゾルの粒子濃度に関して役割を演じる。すなわち、より長い時間枠におけるほど、粒子濃度はより短い時間枠におけるよりも高い値に上昇する可能性がある。 様々な合唱団の練習ないし礼拝の後、新型コロナウイルスが拡散したことについては複数報じられている。5月12日にアメリカのある合唱団(ワシントン州、スカジット郡)におけるこのような感染爆発の一つが、科学的な出版物で報告された(Hamner et al. 2020)。2020年3月17日にその合唱団から保健所に高い感染率についての届け出があった。おそらく高い感染率を伴う感染に立ち至った合唱の練習は、2020年3月10日に行われた。3月10日の練習に参加した61人の合唱団員のうち、53人が罹患し、3人は入院して治療を受けなければならず、2人が死亡した。歌い手たちの平均年齢は69歳(幅 = 31〜83)、入院した3人は2つないしそれ以上の既知の先行疾患を持っていた。エアロゾルを介した感染が、この出版物において一つのありそうな感染源として議論されている。個々の歌い手の間の間隔は、椅子の間が6〜10インチ(約15〜25cm)とわずかであった。練習全体の時間は約2時間半であった。15分間のおやつ休憩があった。さらに、3月10日の初発の感染源と見られる疑いのある発端者は、この練習参加の時点ですでに3月7日から諸症状があり、この人物は3月3日にも練習に参加していた。 合唱の状況におけるエアロゾルによる感染リスクを低減させるために、一方では、上ですでに詳述したように、口鼻防護具(MNS〔サージカルマスク〕)を着用することができる。 他方では、非常に広い空間、たとえばコンサートホールや教会堂で歌うことは、非常に好都合であるように思われる。部屋の約15分毎の定期的な〔一斉に窓を開けて〕空気を通す換気あるいは空調設備のある部屋の利用は、リスク低減のための重要な措置である。野外で歌うことができれば、リスク最小化の観点で最も好都合であると思われる(組織的リスク低減をも見よ)。 さらに練習の実際のやり方においては、練習時間を15分の短い間隔に区切ることもリスク最小化に寄与することができる。 合唱団における飛沫伝播を排除するために、休憩においても通常のソーシャル・ディスタンスの距離の規則が遵守されなければならず、飛沫伝播を防ぐためにMNS〔サージカルマスク〕が着用されるべきである。 さらに我々の観点から特に念入りに注意すべきなのは、休憩の状況で手の接触ないし(たとえば楽譜の手渡し等々によって)表面への接触に至らないようにすることである。定期的な徹底的な手洗いは非常に重要であり、特に顔を触ることと目をこすることは避けなければならない。 一般的なさらなるリスク低減は人に関する入場管理(上を見よ)が提示している。 くしゃみと咳はできる限り避けるべきであり、肘を曲げて受け止める〔上着の内側や袖で口と鼻を覆う〕べきである。 礼拝で歌うこと 歌うことによって喋ることに対して高められた感染リスクが成立することはない、という前提から考えることができるので、教会で歌うことは2メートルの距離の規則を遵守し、MNS〔サージカルマスク〕を着用する場合に可能であると思われる。加えて、礼拝はたいてい大きな、ないし非常に大きな場所で行われる。〔訳注:日本の教会ではそれほど広くない場所で礼拝が行われることもあるので、この点は注意が必要である。〕 2.2.2 吹奏楽器演奏 吹奏楽器演奏に関するリスク評価 フルート族の楽器(リコーダーとフルート)を例外として、吹奏楽器の経験を積んだ演奏者の場合、演奏者の口とその都度のマウスピース(〔金管楽器マウスピースの〕カップ、シングルとダブルのリード)との接点で空気は漏れない。いくつかの吹奏楽器では特定の音の場合、空気がキーから出る。吹奏楽器は、 たとえばロートの形をしたラッパ状開口部を有している。吹奏楽器はそれらの特殊性のゆえに個別に考察されるべきである。 共通点として─フルートを除いて─しかし確定できるのは、音が口唇の振動によって(金管楽器)成立するか、あるいはリードないしマウスピースの中のリード板(木管楽器の中のリード楽器)によって中断されるということである。歌う場合と比較できるように、吹奏楽器演奏者の楽器のラッパ状開口部からは、単位時間当たりただわずかな量の空気しか流れ出ない。ティンチュル株式会社のシューベルト技師がバンベルク交響楽団と行った最新の測定結果はこれらの想定を支持している。 上述の新型コロナウイルスの伝播経路に基づいて、吹奏する際の、ウイルスを含む飛沫と、ウイルスを含むエアロゾルによる感染の潜在的危険が区別されるべきである。さらに、手の接触と手/目の接触を介した、重要な伝播経路が加わる。 飛沫:飛沫はそれらの大きさと重さに基づいて迅速に床に沈み、最大1メートルの距離に到達する。このことに、日常生活状況(店舗、事務所等々)における1,5メートルの距離の規則は基づいている。 吹奏楽器演奏の際に飛沫感染による高められた危険が生じるのか? 金管楽器とシングルリード(クラリネットとサクソホン)とダブルリード(オーボエ、ファゴット)の木管楽器で、演奏者とその都度のマウスピースとの接触点で、楽器をマスターしていれば空気が漏れることはないのであるから、演奏者の口から演奏の際に直接周囲に飛沫が出されることはあり得ない。これが違っているのは、フルート族の楽器(フルート、リコーダー)の場合である。特にフルートの場合、リッププレートに吹き込む際、空気が直接演奏者の開口部から周囲に到達し、飛沫が出される可能性がある。バンベルク交響楽団での測定結果は、リッププレート方向2メートルの距離に置かれたセンサーの気流速度の変数の観点で、もはや何ら空気の動きは測定することができなかった。したがってこの距離において飛沫感染を介した〔ウイルスの〕伝播は、はなはだありそうもない。リコーダーの場合には唇が笛の吹き口〔Schnabel〕を覆うので、ここでは飛沫が周囲に到達することはできない。それに対して頭部管の歌口〔Labium〕で空気の流れが割られる際に飛沫が生じる可能性がある。バンベルク交響楽団での測定結果は、空気の動きはリコーダー演奏の際、歌口の領域で1,5メートルの距離でもはや測定できなかった。したがってこの距離において飛沫感染を介した〔ウイルスの〕伝播は、はなはだありそうもない。 結露水:結露水は、暖かく湿った呼気が、その内壁が明らかにより冷たい楽器の中で、水滴として結露することによって生じる。この現象の際に、場合によっては含まれているエアロゾルは強度に低減される(空気洗浄機の原理)。ウイルス保有者の呼気の場合には、しかしながら、金管楽器では演奏の休みの間に排出されなければならないこの結露水が、果たしてまたどの程度ウイルスを含んでいるのか、そしてそのために潜在的に感染力があるのか、が問題となる。結露水におけるウイルス負荷の観点での測定は、まだ行われていない。 エアロゾル:開いた口からエアロゾルが出る際、これらは呼気の比重がわずかであるために上昇する。それらは部屋の中で拡散するが、その際沈降はもはや何ら実際的な役割を果たさない。〔エアロゾルの〕低減は、ただその都度の部屋に存在している量の空気で希釈されることの結果として、また行われる換気によってのみ生じることができる。 吹奏楽器演奏の際にエアロゾルによる高められた危険が生じるのか? エアロゾルは吹奏楽器演奏の際─フルートの場合を除いて─開いた口から直接部屋の空気に到達することはない。それらは楽器本体の中に入り、開いているキーと/あるいはラッパ状開口部を通して周囲に到達する。ここでは吹奏楽器で考えられる〔空気の〕出口を区別すべきである。金管楽器の場合、空気はラッパ状開口部を通って出る。木管楽器の場合、ただ各楽器の最低音でのみすべての音孔が閉じられ、その結果ただこの場合にのみ空気はベルから出る。例外はここでオーボエとイングリッシュホルンで、これらの場合、楽器の最低音でもなお最後の空いている音孔から空気が出る。さらに木管楽器の場合、演奏される音の高さによって、最初の開いている音孔から空気が出る場所は変化する。 フルートとリコーダーの場合も、エアロゾル形成は息の通り道においてのみ生じる。フルートの場合、空気の流れは呼気の流れと比較することができる。空気の流れはここではコアンダ効果にしたがって〔リッププレートに沿って下に向かって〕逸らされる。リコーダーの場合、唇が笛の唄口〔Schnabel, Mouthpiece〕を覆い、空気の流れは頭部管の窓〔Labium, Lip〕で割られる。 物理的に、あらゆる吹奏楽器の内部でエアロゾル粒子との表面接触が起こり、そこで後者は吸着する、すなわち、楽器は基本的に与えられたエアロゾルの粒子密度を低減させる、ということが想定される。この効果は、〔楽器の〕空気が通る道の長さが長ければ長いほど、〔管の〕断面が小さければ小さいほど、そして〔管の〕屈曲が多ければ多いほど、大きい。この効果はあらゆる大きさの粒子に生じるが、しかしながら〔その効果は〕より大きな粒子ほど、より小さな粒子、たとえばウイルス、よりも高い。上述のように、どの程度楽器がエアロゾルに関して(空気の湿り気の結露の結果、そして表面接触の結果)フィルターとして機能するか、という問いが立てられる。これについての測定はまだ行われていない。 明確な調査結果が出ていない限り、何人かの〔研究報告書の〕著者たち(Kähler & Hain; Willich et al.)は、金管楽器の場合、楽器のラッパ状開口部の前に、〔アクリル板など〕透明な素材の防護具か密に編まれた絹布(またポップガード)を使用する〔置くか、被せる〕ことを推奨している。この防護措置が疑問点のさらなる解明に至るまで、場合によっては出てくる可能性があるエアロゾルを低減させる効果を発揮してくれるかもしれない。木管楽器の場合、ベルに布を被せることは、上述の理由から〔最低音以外では、ベルから空気は出ないので〕あまり目的に適ったこととは思われない。 吹奏する際にどの程度、深く息を吸うことによって高められた感染の危険が生じるのかについては、いまだ科学的に研究されてはいない。 受け手の側では、どの程度ウイルスを含むエアロゾルが、吹奏楽器演奏の際の深く、そしてしばしば速い息の吸い込みによって、より高められた濃度で呼吸器系に達するのか、という問いが立てられる。この点について、科学的な研究結果は提出されていない。 吹奏楽器演奏者の場合、音の生成の他にまた、軽微ではない痰の生成に至る可能性がある。一方でウォーミングアップの際に稀ではなく、増加して痰が生成され、それがその後咳ないし咳払いによって呼吸器系から取り除かれることが観察される。同様に比較的長い演奏をした場合、気道の過負荷によって増加した痰の形成に至る可能性がある。 まとめ:吹奏楽器の一般的リスク評価 吹奏楽器演奏者の場合、現時点では我々の知る限りでは引き続き、吹き出される空気にはウイルスの濃縮は測定されていない。しかしながら、吹奏楽器演奏は肺と気道において、部分的には高い気圧を伴う集中的な空気の交換が必要となる、ということが知られている。どの程度、ウイルス負荷が楽器内部の空気の通り道によって低減されるかは、現時点では明らかでない。最新の測定結果に基づけば、我々が2020年4月25日の最初のリスク評価においてはまだ表明していた、3〜5メートルの距離を過剰に満たす必要はないと思われる。2メートルが最小距離として十分であると思われる。なぜならこの距離では、測定の際に演奏による室内空気の付加的な動きは何ら確認できなかったからであり、それゆえこの距離を遵守すれば、飛沫感染のリスクは非常にわずかであるとランクづけることができるからである。 加えて吹奏楽演奏者の場合、楽器内部で呼気の結露水の形成に至り、それはさらなる潜在的なウイルス拡散物質と看做されるべきである。ここで我々は、結露水を床に排出することを避け、受け皿ないし吸収力のある吸取紙〔キッチンペーパー、ペットシーツ等〕に廃棄して処理することを推奨する。さらに吹奏楽器演奏者は、掃除のために楽器〔に強く息〕を吹き通すべきではない。吹奏楽器の掃除は、もし何とか可能であれば、レッスンないし演奏場面以外の分離された場所で行うべきである。結露水あるいは楽器(たとえばホルン)の内部と接触した場合は、特に徹底した手指衛生(少なくとも30秒の手洗い、すなわち石鹸での非常に徹底した手洗い、ないし場合によっては手指消毒剤の適用)に気をつけなければならない。 吹奏楽器演奏の諸形態 吹奏楽個人レッスン リスクは我々の意見にしたがえば、基本的に個人レッスンにおける歌手のリスク(上を見よ)と比較することができる。 それを超えて我々に有意義であると思えるのは、教師と生徒が個人レッスンの間、演奏しない時は、口鼻防護具(MNS〔サージカルマスク〕)を着用することである。ここでは衛生規則に従ったマスクの正しい使い方に気をつけるべきである。医療領域向けではない防護マスクが使える場合、FFP-2マスクの着用は起こりうる感染リスクを付加的に低減させる可能性がある。 吹奏楽アンサンブル 吹奏楽アンサンブルは編成によって様々な人数の共演者がいる可能性がある。その際共に演奏する者の人数は、基本的に現在有効な規則に対応していなければならない。比較的小さなアンサンブルの場合でも、最新の測定結果にしたがえば2メートルの最小距離を遵守すべきである。なぜならこの距離においては測定の際、演奏による付加的な部屋の空気の動きが何ら確定できなかったからである。練習部屋はできるだけ大きくなければならず、そこは徹底的かつ定期的に換気されなければならない。 距離の規則の遵守は非常に重要な措置であるので(段落2 c.)参照)、広い空間で─コンサートホールと並んでここではまた教会堂のことを考えることができる─音楽を演奏することはリスクを付加的に低減することができる〔訳注:日本の教会ではそれほど広くない場所で礼拝が行われることもあるので、この点は注意が必要である〕。夏の季節には我々は、野外で演奏することに重要な可能性を見ている。ここについては吹奏楽の領域において大きな伝統がある。 エアロゾルは屋外では〔室内よりも〕より早く拡散し、病原体の不活性化の過程が強度に加速され(紫外線、オゾン、水酸基、窒素酸化物)、そして全体的な効果としてそれによって感染リスクがはるかに低くなる、ということが推測できる。最小距離を遵守する場合に、吹奏楽アンサンブルにとってそこでリスクは非常にわずかであると評価すべきである。 2.2.3 他の楽器 鍵盤、弦、撥弦、打楽器 他のすべての楽器の演奏者の場合、有効な規則が厳格に遵守されている限り、我々の観点からは飛沫感染ないし増加したエアロゾル形成の問題に関して、音楽遂行による高められたリスクは他の社会的諸状況との比較において生じない。既知のリスクが〔音楽遂行の場合も他の社会的諸状況と同様に〕妥当する。複数の音楽演奏者が一つの部屋にいる場合、エアロゾルによって起こりうる感染のリスクに注意すべきである。我々の観点からはそれゆえ上に掲げた諸措置(2bの段落を見よ)、特に換気(15分の練習/レッスンの後に一斉換気)、そして十分な部屋の広さ並びに距離、が妥当する。特別な意義があるのが徹底した手指洗浄である。 鍵盤楽器演奏者 ピアニストの場合、様々なピアニストが入れ替わり同じ楽器で演奏すると、接触伝播のリスクが役割を演じる。そこで演奏開始前にどの演奏者も少なくとも30秒の手指洗浄(すなわち、石鹸での非常に徹底した手洗い、ないし場合によっては手指消毒剤の適用)を行わなければならない。付加的に我々の観点からは、鍵盤自体もクリーニングクロスで一人一人の演奏の前と後に掃除されなければならない。 コレペティション〔ピアノ伴奏による指導〕の場合、我々の観点から注意すべきなのは、ピアノ演奏者の、また吹奏楽ないし声楽のコレペティションの場合にも、共演者に対する2メートルの距離を取らねばならないことである。なぜなら音楽演奏の際には自発的な動きが生じることが稀ではなく、コレペティートルに振り向くこともそれに伴うからである。吹奏楽器と歌手の口からの空気の動きによる飛沫伝播は、ピアニストに対するこの距離においては、我々の測定結果にしたがえば危惧する必要はない。 しかしながら部屋の中でエアロゾルによって起こりうる感染〔の可能性〕は排除することができない。我々はここで、上述のリスク低減のための諸措置の意味で、MNS〔サージカルマスク〕の着用が、演奏者のお互いの他者および自己防護の意味で、コレペティートルと彼ないし彼女が一緒に演奏する楽器演奏者および歌手にとって重要な可能性であると見る。吹奏楽器演奏者にとっては上述のリスク低減のための諸措置が考慮の対象となる。 弦楽器、撥弦楽器、打楽器 楽器の受け渡しないし共用はできる限り避けるべきである。ピアニストの場合に対応して、接触伝播のリスクは手指洗浄と顔と目に触るのを避けることによって低減させることができる。 室内楽アンサンブル/バンド 室内楽ないしバンドの比較的小さな編成においても、上の段落2.で詳述した、入場管理、部屋/空気/時間という変数の最適化、および個人的な防護措置によるリスク低減の可能性に必ず注意が払われるべきである。ここでも距離の規則を遵守することが、飛沫感染を防ぐために非常に重要である。距離の規則の遵守には大きな注意が要求され、体の近さと社会的な結び付きは音楽を演奏する状況における直観的な部分であるため、また音楽を演奏することは空間における体幹をめぐる動きと同時に進行するので、人が取る距離は我々の観点からは2メートルであるべきである。これを超えてさらに、複数の人が閉鎖空間で音楽を演奏する際には、エアロゾルによる感染のためのリスクを低減する防護要因が妥当する。この要因とは、(各演奏者の周りの半径2メートルの距離によって強制される)できるだけ広い空間、定期的な換気(自然換気の閉鎖空間では15分の練習/レッスン毎の一斉換気)、そして練習時間全体の低減である。 加えて、室内楽的なアンサンブルとバンドにおいても、上で繰り返し述べたように、吹奏楽器を演奏していない演奏者たちのエアロゾル感染によるリスクを低減するため、口鼻防護具(MNS〔サージカルマスク〕)を着用すべきである。 さらに我々の観点から特に念入りに注意すべきなのは、休憩の状況で手の接触ないし(たとえば楽譜の手渡し等々によって)表面への接触に至らないようにすることである。定期的な徹底的な手洗いは非常に重要であり、特に顔を触ることと目をこすることは避けなければならない。くしゃみと咳はできる限り避けるべきであり、肘を曲げて受け止める〔上着の内側や袖で口と鼻を覆う〕べきである。 オーケストラ/ビッグバンド オーケストラあるいはまたビッグバンドにおけるような大勢の演奏者が集まる場合、リスク低減のための上述の諸措置をそれぞれの楽団のその都度の状況に合わせて適用すべきである。 飛沫伝播そして/あるいはエアロゾルによる様々なリスクをまとめてみるならば、再びリスクを低下させる諸措置は、できる限り大きなリスク最小化に到達できるように組み合わせるべきである。 個々の演奏者の間の飛沫伝播の観点では、バンベルク交響楽団とその他の作業部会の測定結果にしたがえば、演奏者の間に(半径)2メートルの距離を保った場合─フルートを含めた吹奏楽器演奏者の場合も─、飛沫伝播は計算に入れる必要がない、ということを前提して考えることができる。 練習とコンサートの際の閉鎖空間におけるエアロゾルの拡散に関しては、それに対して何ら科学的証拠が上がっていない。これがそうである間は、我々の観点からは諸々の措置の組み合わせによってできる限り低い範囲までリスク低減を行うべきである。これはオーケストラないしビッグバンドにおいては─すでにアンサンブルと合唱について述べたように─なかでも定期的な換気(上の段落2.参照)を必須とすべきである。部屋の約15分毎の定期的な〔一斉に窓を開けて〕空気を通す換気あるいは空調設備のある部屋の利用は、リスク低減のための重要な措置である。野外で演奏することができれば、リスク最小化の観点で最も好都合であると思われる(組織的リスク低減をも見よ)。 さらに他者および自己防護のためにMNS〔サージカルマスク〕を着用すべきである。吹奏楽器の場合─楽器のフィルター効果が実証されていない限り─適切な布の防護具をラッパ状開口部に装着すべきである。継続時間の問題、つまりどれだけ長く練習あるいはコンサートが続くかも、〔室内〕空間において予想されるエアロゾルの粒子濃度に対して役割を演じる。すなわち、より長い時間においては粒子濃度はより短い時間におけるより高い値に上昇する可能性がある。このことが練習ないしコンサートのプログラムでは考慮されなければならない。くしゃみと咳はできる限り避けるべきであり、肘を曲げて受け止める〔上着の内側や袖で口と鼻を覆う〕べきである。 まさに大人数の場合、オーケストラ/バンド活動〔それ自体〕以外の諸状況も起こりうる感染に重要な役割を果たす。ここで特に念入りに注意すべきなのは、休憩の状況で手の接触ないし(たとえば楽譜の手渡し等々によって)表面への接触に至らないようにすることである。定期的な徹底的な手洗いは非常に重要であり、特に顔を触ることと目をこすることは避けなければならない。 上述の諸措置の中で入場管理は首尾一貫して運用された場合、有効な付加的措置となる可能性がある。 3. リスクマネジメント 効果的なリスクマネジメントには普通、それに属す発生確率と特定のリスク低減措置がどれくらい有効であるかの知見を伴う、正確なリスク分析が要求される。現時点ではしかし、我々は新型コロナウイルス〔SARS-CoV-2〕による伝播について多くのことを未だ知ってはおらず、その結果リスクマネジメントは現状では多くの未知の変数を伴う方程式を意味している。このことは、様々な目標設定(罹患率対音楽文化の維持)と個人的な態度(リスクを取る冒険好きか、リスクを避ける慎重派か)が様々な行動推奨に導きうる、という余地を残す。個人として各人に、どのリスクを彼ないし彼女が担う用意があるのか、決断する権利が認められなければならない。 科学者として我々は、この方程式のできるだけ多くの未知の変数を既知の変数に変換することに寄与したいと欲している。 実践において我々の観点からは現時点で最適のリスクマネジメントは、各団体がその固有の音楽演奏のセッティングのために独自のリスクマネジメントを開発する、ということになるであろう。感染リスクは、リスク低減措置の数が多ければ多いほど、より強度に低減されることが期待できる。この措置の取り方には、開業医、保健所職員等々が助言しながら伴走すべきである。 我々は未だ十分に科学的に確証された基礎を持っていない限り、起こりうるリスクを疑わしい場合には、どちらかと言えば過小に評価するよりも過大に評価しなければならない。このやり方で感染の全体的なリスクを、諸々のリスク低減措置を組み合わせることで、できる限り低い範囲まで低減させることができる。その際しかしながら明確に指摘されなければならないのは、ALARPの原則(As Low As Reasonably Practicable〔合理的に達成可能なできるだけ低いレベル〕)に従うならば、現時点では定量化できない、残留リスクが残っているということである。 参考文献 Asadi S, Wexler AS, Cappa CD, Barreda S, Bouvier NM, Ristenpart D. 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