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知られざる名曲を求めて Vol.2  演奏曲紹介 第2回目 器楽作品

この公演では、4曲の器楽作品を取り上げます🎶


スカルラッティの生涯で、膨大な声楽作品に比べて器楽作品の数は、圧倒的に少なく、また、純粋な器楽作品のほとんどは、生涯の晩年10年の1715年から作曲され始めました。


✳️2本のリコーダーと弦楽合奏のコンチェルト・グロッソ形式のシンフォニーア


12曲のコンチェルト・グロッソも1715年から作曲され始め、その全曲の独奏、コンチェルティーノ楽器にリコーダーが指定されています。

その中に2本のリコーダーの為のコンチェルト・グロッソは2曲収められており、今回は、第1番へ長調を演奏します。


この作品は、コンチェルティーノとして2本のリコーダー、弦楽がリピエーノ、通奏低音で演奏されます。


短めの5楽章から成り、1颯爽と華やかなアレグロから始まり、2一変、重々しく深刻なアダージョへ、そして、3厳格なフーガへアッタッカで進行して行きます。

4アリアを思わせるような美しく、切ないアダージョから、5軽やかで嬉々とした2拍子系のアレグロでこの作品は締めくくられます。


アレッサンドロのリコーダーが使用されている作品として演奏頻度の高いものは、3本のリコーダーと通奏低音の為のへ長調のソナタ、今回の<コンチェルト・グロッソの12のシンフォニア>にも収められている1本のリコーダーと弦楽、通薄低音の為の協奏曲などですが、2本のリコーダーを伴った作品は、ほとんど演奏されません。


また、同時代の2本のリコーダーと弦楽合奏を伴ったもので最も有名な作品はバッハ/ブランデンブルク協奏曲4番、テレマン/協奏曲ニ短調ですが、ほかの作曲家の作品で演奏されることが、ほぼありません。

そう言った意味でも、今回は、貴重なリコーダーレパートリーのご紹介にもなると思っています。


この作品は、British Libraryに自筆譜が残っています。





✳️2本のリコーダーと2本ヴァイオリン、通奏低音為のイ長調のソナタ


こちらも演奏機会の極めて少ない作品となっています。


3楽章から成り、1ウォーキングベース上で、牧歌的な伸びやかで、解放感あふれる旋律が展開されるグラーヴェから、2タンブーランを起想させる賑やかで、リズミカルなアレグロ、3楽章の軽やかで、チャーミングなミヌエットで終わります。


この作品は、イ長調という調性から、F菅ではなくG菅アルトで演奏されていた可能性を考え、今回は、G菅バロックアルトを使用します。

また、1音、リコーダーでは出せない音がある事を鑑みて、指定にはトラヴェルソとは書かれていないもののその出ない1音のために2ndは、出演の中島恵美さんにトラヴェルソで演奏して頂きます。


こちらは、ミュンヘンにあるMünster(ミュンスター)図書館にある、イタリア音楽のコレクション The Santini Collection(サンティーニ・コレクション) に手稿譜が残っています。




✳️オルガンのためのトッカータとバレット  イ短調


今回は、チェンバロで演奏して頂きます。

分散和音と複雑な転調がドラマチックなトッカータから、すっきりと可愛らしい小品のバレットへ続くことにより、この公演における一服の清涼剤となることと思います。


✳️<2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによるチェンバロを伴わない4声のソナタ>

より ソナタ第4番


スカルラッティの4声のソナタは、後の19世紀、ハイドンなどにより確立された器楽ジャンル「弦楽4重奏」へ繋がる、最初期の先駆け的作品です。


18世紀初頭、ナポリ王国で活躍した歌手、舞台俳優のボニファーチョ・ペコローネは、1729年、故郷のナポリでの芸術的・社会的経験を綴った回想録の中で、アレッサンドロ・スカルラッティを「音楽界のオルフェウスであり、彼の多くの作品が明らかにしているように、現代における対位法を最もよく理解している人物である。」と称しています。


まさに、この4声のソナタは、後期バロックの作品にも関わらず、対位法的要素が色濃く残り、同時代の作品に比べ、一瞬古風な響きにも感じますが、対位法の妙を感じられる名曲です。


5楽章から成り、1厳格なフーガ形式のラルゴ、2不協音の重なりが心に沁みバッハを思わせる対位法が美しいグラーヴェ、3激しく、疾風怒濤のアッレグロ、4快活な舞曲ジーグを思わせるアッレグロ、5優雅さと、颯爽さに、切なさも感じる物憂げなミヌエットで終わります。




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